いけばな作品(花姿)/教室選び1
いけばな教室を選ぶ際に一番大事なのは、そのフラワースクールが教えてくれる花姿でしょう。
ご自分が綺麗と思う、いけばな作品なのかどうか。
ご自分が目指したい、いけばな作品なのかどうか。
やはり、その人の趣味に会う花姿を教えてもらえなければ、いけばなのお稽古も楽しくありませんから、長続きしません。
せっかく、お花をはじめるわけですから、作品に惚れ込んで入門した方が良いに決まっています。
ご存じの通り、ほとんどのいけばな教室は、いずれかの華道の流派に所属しています。
花姿は流派ごとに研究され定まっており、その計算された美の形を表現・体現できるようになることが、華道の基本となります。自由に活けるのでは、いけばなのお稽古をする意味が全くありません。スクールに通わずに、自宅で自由に研究したら十分ではないでしょうか。
せっかく、いけばな教室に通うのですから、その長年の歴史にわたる研究の成果を、「存分に盗み、身につける」ことが正しい探究者の姿勢なのです。
一方で、どのいけばな教室でも、その流派が「良しとする」つまり「美しいバランスと決めている」以外の花姿を指導することはできません。いけばな教室の存在する意義が失われるからです。
いけばな教室は、学生さんのサークル活動ではありません。「あれが良い、こっちの方が良い。」と、わいわいがやがやと、研究する場ではないのです。
もっと、効率的に、短期間で、美のセンスや、技術を身につけていくためのノウハウがそこにはあります。
様々ないけばなの流派が、日本国内に300以上、存在します。
古いから良いとか、大きいから良い、というものでもありません。
あなたが「目指したいと思う花姿(はなすがた)」を教えてくれる流派のフラワースクールを選ぶのが一番良い方法です。
あなたが好きな花姿が、あなたに合った花姿なのです。
ですから、やはり最初に、教室に実際に訪れてみて、お稽古で活けられているお花の形を観賞したり、いくつもの流派が作品を並べている花展・華道展に足を運んでみて、「このお花が好き」と感じられるいけばな教室の門をたたいてみることで、幸せないけばな人生のスタートとなることでしょう。
未生流笹岡の花姿(はなすがた)
寺田町駅前文化教室のフラワースクールが教授するいけばなは、「かきつばたの笹岡」として世界的に有名な「未生流笹岡」です。以下に、未生流笹岡ホームページの中に謳われた「Less is More(省略の美)」の精神について書かれた記事を引用いたします。
(ここより引用)
未生流笹岡では、「素材のよさを引き立たせるためには、シンプルにいけあげた方がよい」と考えています。ですから、使う花の量も種類もできるだけ少なくしています。たまに、ありったけの花をつぼの中に放り込んだといった印象の作品を、目にすることがあります。しかし、それでは、たくさんの枝葉が重なり合っていて、一輪の花や一枚の葉の美しさは見えません。私たちは、重なりあった枝葉を極限までそぎ落とし、そこに隠された花や葉の輪郭を、際立たせます。そうやっていけあげた未生流笹岡の作品は、一輪の花、一枚の葉がリズミカルに、豊かな空間を演出しています。
この手法は、近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエのデザイン論“Less is more”に例えられます。つまり、「厳選されたより少ない素材で、より豊かな空間をつくる」というこの考え方は、未生流笹岡のデザイン論そのものです。
(引用終わり。http://www.kadou.net/learn/feature.html より)つまり、当フラワースクールにおいても、「足元のきれいな未生流笹岡の花姿」と呼ばれる、シンプルでスマートなスタイルの花姿しか、お教えすることができません。
若松の投入れひとつ取っても、流派によっては、たっぷりと豪奢な花材を使い、豪壮優雅に活けることを良し、とする流派も少なくありません。
しかし、未生流笹岡で培ったセンスの目からは、茫茫(ぼうぼう)とした作品は良し、といたしませんので、そのような花姿をお教えすることはできません。
また、仏花や書院造の座敷花をルーツとする、真(しん)と呼ばれる枝を中心に立て、その前後左右に数種類の役枝(やくえだ)を配置する古来の様式であるたて花・立花なども、未生流笹岡では教えることはありません。
他流派の目指すいけばなを決して否定するものではありませんが、未生流笹岡の目指すいけばなは、基本的に「小奇麗で、涼しげな、花姿」であり、世間の皆様からは「足元のきれいな」という添え言葉をいただいています。
ですから、豪奢、贅を尽くした花姿や、古来の伝統的な花姿を好まれる方は別として、未生流笹岡の花姿に興味を持たれた方は是非、花展や、体験レッスンなどを通じて、いちど、未生流笹岡のお花をじっくりと観賞してみてください。
花展、体験レッスン等のお問い合わせは、下記までどうぞ。
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