なぜ、いけばなを習うのでしょうか2
いけばなの技術の習得
いけばなの花矩(はながね)を理解することで、いけばなの理論や型を覚えられたとしても、初めから思うように活けることなど、実際には到底できません。
それは活けるための「いけばなの技術」がないからです。
ひとくちに「いけばなの技術」といっても、身に付けるべき技術は山積しています。
花材の蕾や枝を選ぶ技術、切る技術、矯める(思い通りの曲線を作る)技術、留める(固定する)技術、さらには、花材を長持ちさせたり鑑賞者のタイミングに合わせて咲かせる技術など、枚挙にいとまがありません。
さらには、それぞれの花材の特徴に合わせた技術を身に付けなければなりませんから、花材そのものに対する知識も必要です。
松を切る技術とかきつばたを切る技術は違うものですし、若木を矯める技術と老木を矯める技術はまったく違うものだからです。花材の性質や状況を把握する知識が必要となるのです。
また、花器や道具についての知識も必要です。入門したばかりの頃はお師匠さんが花材も花器も道具も用意してくれるわけですが、独り立ちして自分で活けたり、人を指導する立場になってくれば、花材や器をどうやって手に入れるかといった情報や人脈も必要になって参ります。
少し時期が外れた季節に、どうしても必要な花材を大量に用意しなければならない際などは本当に苦労いたしますし、それを叶える事も技なのです。
大事な事は、そのような技や知識は単独で修練するものではなく、型を再現しながら花矩(はながね)を理解し実践していく中で、総合的に身に付けていくものであることです。
単純な技の練習は無意味ですし、実際に花材を使い花矩(はながね)を実現するよろこびの中で身に付けて行く方がよほど効率的で習熟の近道です。
それが、いけばなの稽古というものです。
そして、思いのままに、花矩(はながね)を実現できるようになった頃には、芸術家としての満足心とともに、人のつながりや地位なども兼ね備え、人間としての進歩を感じて、人生と世の中に感謝できるようになられていることでしょう。
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